絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

八柱神社の巨岩

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八柱神社の巨岩

平成3年2月号

 三交バス奥鹿野線の終点から清流にそって県道を約500m行くと、右手に整備された参道がある。石の大鳥居をくぐって砂利のしきつめられた小登りの参道を進むと天を衝く老杉の神域である。おそらく樹齢300~400年は経ているだろう。奥鹿野の産土(うぶすな)さん八柱神社である。社殿前の斎庭の苔が美しく、この庭に楓の古木があって秋の紅葉が殊のほかすばらしい。

画像の説明

 当社は古く八王子社と称し、明治5年に現在名に改められた。境内端垣の傍らに大岩石があり、伝えによると、往古は社殿を設けず、この岩石を磐座(いわくら)として尊崇していたとか、故に今でも里の人達は、参拝のあと必ずこの岩石を拝むならわしがある。古い磐座信仰の姿を今に残していて興味が深い。

 現存する元禄14年(1701年)の棟札によれば、天文5年(1536年)の冬、宝殿に賊が入り神宝を盗んだうえ社殿に火を放った。焼跡の灰の中から身長三寸の聖観音銅像と卵形卵色の珍石3個が変色もせず出てきて、これを八王子の起端としたという話が記されている。

 明治40年県から種生神社への合祀の強い勧告はあったが、区民ががんばって独立を確保したという。昼なお暗い老杉の大岩石に立つと、里人たちの信仰の歴史が偲ばれる。




平成3年目次
125.川上の地蔵堂と菩薩立像 平成3年1月号
126.八柱神社の巨岩 平成3年2月号
127.霧生中山の道 平成3年3月号
128.天正の伊賀乱をしのぶ 小鴨(こがも)氏城跡 平成3年4月号
129.珍しい高尾の石室・石仏地蔵 平成3年5月号
130.妙楽地の秋葉さん 平成3年6月号
131.町指定文化財 天照寺の石造五輪塔 平成3年7月号
132.全国でも数少ない蔵王権現の石像 平成3年8月号
133.戦後開拓の歴史を刻む老ヶ野・古田・青山道路 平成3年9月号
134.奉供養 勧進橋の碑 平成3年10月号
135.霧生の鹿島神社 平成3年11月号
136.6,7世紀の代表的な墓 羽根・峯台(みねだい)一号古墳 平成3年12月号

目次平成4年

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