再納の由緒を伝える極楽寺の鰐口(わにぐち)
再納の由緒を伝える極楽寺の鰐口(わにぐち)
平成5年5月号
老川如来として知られる極楽寺の正面玄関には鰐口がかかり、参詣した人はこの鰐口を鳴らしお祈りします。
この鰐口には「寿陽山、極楽禅寺、文白和尚の代、時、寛永戌辰二月吉日、敬白老川村」と刻まれています。
鰐口は弥生時代後期の銅鐸に次ぐ宗教祭祀の器具として使用され、のち半鐘や吊鐘となって伝承されたとされています。
この極楽寺には、応永6年(1399)に奉納された鰐口があったといわれていますが、現在は上野市古郡の常福寺に所蔵されており「奉勧進聖重阿弥、藤原友康、伊賀國老川極楽寺、応永六己卯九月三日」と刻まれ、上野市の文化財に指定されています。
この鰐口がなぜ常福寺に移転されたか、その経過については、文政3年(1820)の常福寺文書に残されていますが、極楽寺が応永の年間(1394~1400)に既に由緒ある寺院として知られ、鰐口が奉納されていたことを物語っています。
現在の極楽寺の鰐口は、江戸初期の寛永5年(1628)老川村が再納したもので、町内最古の金属具となっており、貴重な文化財といえます。
平成5年目次
149.古い歴史を伝える老川・若宮神社 平成5年1月号
150.上津山・宝珠院 平成5年2月号
151.山の神さん 平成5年3月号
152.神と仏と古墳が共存するお稲荷さんの丘 平成5年4月号
153.再納の由緒を伝える極楽寺の鰐口(わにぐち) 平成5年5月号
154.比々岐の森 平成5年6月号
155.堀抜氏頌功(しょうこう)碑 平成5年7月号
156.初瀬街道の難所 八町坂改修紀功碑 平成5年8月号
157.田舎暮しの拠点・守口憩の郷 平成5年9月号
158.朝日山 喜福寺 平成5年10月号
159.野田のお不動さん 平成5年11月号
160.郷士・福森氏宅址(たくし) 福森氏城跡 平成5年12月号