絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

勝福寺の五智如来

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勝福寺の五智如来

昭和63年2月号

 大山田村へ通じる県道伊賀青山線の勝地公民館の上に、伊賀四国八十八ケ所の霊場第十番札所の勝福寺がある。現在の本堂は大和の室生寺から移したもので、ご本尊は阿弥陀如来さま。この境内に、古くから五智如来坐像が祀られている。

 密教で、仏の備える五種の智(さとり)、すなわち法界体性智、大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智の五智(五つの教え)を、阿閃・宝生・阿弥陀・不空成就・大日の五つの如来さまに配してお祀りしたものである。

画像の説明

 中央に一段高く大日如来を据え、他の四坐像をおのおの四方にむけて据えている。五体とも花弁形光背に正座し、宝冠をいただき台座は蓮弁を刻出している。「文明十二年」(1940)の刻銘があり、室町時代の石仏として貴重な資料で、去る昭和42年には町文化財に指定された。

 500年余の永い歳月、日照山の高台から勝地の里人たちを見守り御慈悲を授けてきたのである。町内の石仏の中では、北山にある一本松の地蔵さん(応安6年)に次いで古い仏さんである。

 檀家のみなさんのお骨折りで、先年隣接する墓苑の整備がなされ、今年はまたすばらしい庫裡が竣工した。

 五智如来さんのお堂も新築され、眺めのよいお山から、開けてゆく勝地の里を、にこやかなお顔で眺めておられるのである。




昭和63年目次
89.ゴルフ場の中に珍しい高尾・古田の古城跡 昭和63年1月号
90.勝福寺の五智如来 昭和63年2月号
91.霧生の八幡さん 昭和63年3月号
92.信仰と芸術の調和 安養寺の竜の棟瓦 昭和63年4月号
93.原型どおりに新築復元された老川如来の山門 昭和63年5月号
94.茶丸稲荷さん 昭和63年6月号
95.諸木の安楽寺 昭和63年7月号
96.桃山時代の華麗な建造物 大村神社の宝殿 昭和63年8月号
97.禅寺の山門に建つ 不許葷(くん)酒の碑 昭和63年9月号
98.滝仙寺(りゅうせんじ)の文化財 昭和63年10月号
99.霧生村内検帳 昭和63年11月号
100.日本三奇鐘の一つ 大村神社の虫食鐘 昭和63年12月号

目次昭和64年/平成元年

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