絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

妙楽地の馬頭観音

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妙楽地の馬頭観音

平成6年6月号

 県道伊賀青山線の三交バス妙楽地岩上停留所の左上方(字岩崎)、長谷農道の傍らに「妙楽地馬頭観音堂」が祀られている。

 妙楽地の里を見渡す高台で、農耕守護と村中安全の祈りをこめて今から約270年前に創建された。創祀は不詳であるが。御本尊は馬頭観世音菩薩、脇仏に阿弥陀如来さんが安置されている。

画像の説明

 現存の御堂は、明治10年に改築されたもので爾来屋根葺替えや堂内の修理が施されている。今から270年前の享保8年(1723年)、また文政3年(1820年)に堂宇改築された棟札が保存されている。

 お堂に近い山下宇さん(世話人)宅に天保7年(1836年)に、妙楽地若衆連20人が奉納した大提灯箱が立派に保存されていて、今もこの大提灯は毎年8月18日の会式にお堂へかかげて灯りをともしているとのこと。

 昭和初期には、8月18日の会式に村中の善男善女がおこもりをして夜おそくまで境内広場で江州音頭の踊の輪がひろがり、奉納相撲などして農村の盂蘭盆(うらぼん)の賑やかな一夜だった由である。比較的耕地の少なかった妙楽地は、山合の山田を耕作しなければならず、観音さまに豊作を祈願して、お堂の前の農道を山田へ耕作に通ったことだろう。

 同じ馬頭観音さんを祀る名張市新田の初午さん(真性寺)が再建された宝暦年間(約240年前)と、ほぼ同じ頃に創始され、代々の篤信の人達によって護持されてきた歴史は尊い。お堂の前から見おろす妙楽地の耕地は圃場整備もすっかり終って、今大型機械による田植えの真っ最中である。




平成6年目次
161.種生天神社と小竹城跡 平成6年1月号
162.青山峠の今昔 平成6年2月号
163.霧生の灯籠はん 平成6年3月号
164.同所に三体三様の姿 羽根の庚申(こうしん)さん 平成6年4月号
165.街道いま、むかし 古田の笹峰峠 平成6年5月号
166.妙楽地の馬頭観音 平成6年6月号
167.行者山砦(とりで)跡 平成6年7月号
168.宝厳寺(ほうごんじ)裏山の霊場 二十一大師めぐり 平成6年8月号
169.街道いま、むかし 乃(野)木山(のぎやま)の道 平成6年9月号
170.熊野権現(ごんげん)奥の院さん 平成6年10月号
171.霧生高山林道の大日如来(だいにちにょらい) 平成6年11月号
172.初代の阿保駅 近鉄・比土(ひど)駅の今昔 平成6年12月号

目次平成7年

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