絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

戦後開拓の歴史を刻む老ヶ野・古田・青山道路

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戦後開拓の歴史を刻む老ヶ野・古田・青山道路

平成3年9月号

 県道老ヶ野古田青山線という長い名称のついた道は、馴染みが薄くあまり知られていない。

 この道は、美杉村老ヶ野を起点として、青山町・古田から白山町に入り、再び青山峠に通じ、全長30kmにも及び南青山高原地帯(室生・赤目・青山国定公園)を南北に縦走している。道幅は約3m、ほとんど舗装されており東海道自然歩道と兼ねている。高尾の桜峠と古田の間を除いては時折ラリーやモトクロス気分の車が走る程度で、ほとんど人通りがない。

画像の説明

 標高6~700mの高地をほぼ等高線に沿って開設され、急な坂は少ないが、数知れないカーブが延々と続いている。道の両側は杉と桧の人工林で延々と続いている。道の両端は杉と桧の人工林で占められているが、尼ヶ岳や大洞山の山麓をめぐっているので、景色は雄大で美しい。

 この道は昭和21年から戦争引揚者による集団開拓地を結ぶ産業道路として開設され、美杉村の老ヶ野、広瀬、青山町の布引、白山町との間の塩見・天王・奥鹿野の折戸、青山峠に散在する開拓農家の動脈として開通した。

 開拓が進み水田や牧場が拓かれ一時は活況を呈したが、高冷地であるのに加え、経済の発展は開拓農業に大きな打撃を与え、山を下りる農家が続出し、現在はほとんど農家として残っていない。

 冬期は雪と氷に閉ざされるが、春から秋にかけては秘められたドライブコースとして一巡するのも楽しいものである。




平成3年目次
125.川上の地蔵堂と菩薩立像 平成3年1月号
126.八柱神社の巨岩 平成3年2月号
127.霧生中山の道 平成3年3月号
128.天正の伊賀乱をしのぶ 小鴨(こがも)氏城跡 平成3年4月号
129.珍しい高尾の石室・石仏地蔵 平成3年5月号
130.妙楽地の秋葉さん 平成3年6月号
131.町指定文化財 天照寺の石造五輪塔 平成3年7月号
132.全国でも数少ない蔵王権現の石像 平成3年8月号
133.戦後開拓の歴史を刻む老ヶ野・古田・青山道路 平成3年9月号
134.奉供養 勧進橋の碑 平成3年10月号
135.霧生の鹿島神社 平成3年11月号
136.6,7世紀の代表的な墓 羽根・峯台(みねだい)一号古墳 平成3年12月号

目次平成4年

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