絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

桃山時代の華麗な建造物 大村神社の宝殿

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桃山時代の華麗な建造物 大村神社の宝殿

昭和63年8月号

 阿保の小高い丘の上、樹齢数百年の桧、杉の大樹がうっそうと覆う厳かな森の中、広い境内地に鎮座する元県社大村神社は、当地方開発に尽くされた、阿保朝臣の始祖といわれる大村神(第十一代垂仁天皇の皇子息速別命=いこはやわけのみこと=)を主神に、外二十柱を祭神とし、延長5年(927)の延喜式に登録された古社である。

画像の説明

 社殿は天正伊賀乱の兵火で焼失したが天正15年(1587)12月に再建された。以来鹿島社(本殿)を中心に、天照、八幡、姫の四社殿が立ち並んでいたのを、明治22年(1889)に合同した一本殿を造営した際、華麗な旧本殿(鹿島社)を宝殿として残し、他を取り壊した。

 宝殿は今、回廊の内に本殿の西側の並んで建ち、春日造り一間社、屋根は入母屋桧皮=ひわだ=葺きで、全般に形状がよく整い、斗栱=ときょう=(組物ともいい、四角な斗=ます=と長い肘木=ひじき=で構成し、柱の上で軒を支えるもの)、虹梁=こうりょう=(柱の間にかけた梁=はり=)、木鼻=きばな=(虹梁の先などに彫刻を施したもの)、蟇股=かえるまた=虹梁の上や斗栱の間などに置くもの)や軒廻りなどの彫刻と彩色はすばらしく、桃山時代建築美の特徴(木割細く、彫刻的装飾を多く用い華美)をよく伝えているといわれる。

 この見事な宝殿は、建造物では町内唯一の国の重要文化財に指定され、防火施設も完備しているが、将来とも町民こぞって愛護していきたいものである。




昭和63年目次
89.ゴルフ場の中に珍しい高尾・古田の古城跡 昭和63年1月号
90.勝福寺の五智如来 昭和63年2月号
91.霧生の八幡さん 昭和63年3月号
92.信仰と芸術の調和 安養寺の竜の棟瓦 昭和63年4月号
93.原型どおりに新築復元された老川如来の山門 昭和63年5月号
94.茶丸稲荷さん 昭和63年6月号
95.諸木の安楽寺 昭和63年7月号
96.桃山時代の華麗な建造物 大村神社の宝殿 昭和63年8月号
97.禅寺の山門に建つ 不許葷(くん)酒の碑 昭和63年9月号
98.滝仙寺(りゅうせんじ)の文化財 昭和63年10月号
99.霧生村内検帳 昭和63年11月号
100.日本三奇鐘の一つ 大村神社の虫食鐘 昭和63年12月号

目次昭和64年/平成元年

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