江戸の文化を今に伝える伊賀名句集
江戸の文化を今に伝える伊賀名句集
平成2年5月号
澄んだ大気と緑あふれる我が町は、青山高原をはじめ名所、古蹟に富んでいます。
伊賀、とくに青山の名所については、江戸初期に能登永閑が「伊賀名所記」を出し、菊岡如幻(にょげん)が「伊水温故」などで紹介しました。
享保、元禄の頃は、俳聖といわれた松尾芭蕉が、帰省の際に、伊賀の各地を巡っては名句をいまに残しています。
その芭蕉の高弟であった半残子こと山岸重左ヱ門練常は、伊賀各地の名所古蹟を巡って、78ヶ所一句ずつ俳句にまとめ「伊賀名所句集」を出しました。

そのうち青山町の関係については、
国見山(種生=たなお)
◯庭鳥も霞になきぬ国見山
伊賀中山(岡田)
◯祝れて出けぬ峯のともし狩
沼木山(高尾)
◯山に来て目当のちがう紅葉哉
小富士山(尼ヶ岳)
◯雪嶺へ天鶴のハヘやふじのすそ
兼好塚(種生)
◯月はなの見やう残りて霞かな
三国岳(藤原千方)
◯眼よりおとすあられか鬼の君
の6ヶ所6句が収められています。
この句集をきっかけにして、土田杜若が「伊賀名所図会」を著し当時としては、珍しいガイドブックとして重用されました。当時の伊賀は芭蕉の流れを受け継いだ山岸半残、服部土芳など俳連衆が活躍し、江戸の大衆文化を築き上げました。
平成2年目次
113.伊賀・伊勢の境 布引峠の今昔 平成2年1月号
114.伊賀の中山 平成2年2月号
115.諸木のふれあい広場 平成2年3月号
116.指形の道標が示す川上の大円寺 平成2年4月号
117.江戸の文化を今に伝える伊賀名句集 平成2年5月号
118.伊勢路の天王はん 平成2年6月号
119.諸木氏城跡 平成2年7月号
120.県指定文化財「たわらや」の看板類 平成2年8月号
121.県指定天然記念物 奥山権現のブナ林 平成2年9月号
122.名張の沃野(よくや)をうるおす新田水路 平成2年10月号
123.弘法大師の三度栗 平成2年11月号
124.初代斎王の頓宮跡か照皇宮神明社(しょうこうぐうしんめいしゃ) 平成2年12月号