絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

滝仙寺(りゅうせんじ)の文化財

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滝仙寺(りゅうせんじ)の文化財

昭和63年10月号

 県道伊賀青山線の滝バス停から右に折れて参道を約200m登ると、真言宗豊山派の名刹南岳山滝仙寺がある。伊賀四国霊場十九番の札所で、“立江(たちえ)地蔵さん”とも愛称されている。

画像の説明

 近年檀家の寄進で落慶した荘重な山門を入ると広い寺庭である。開基の年代は明らかではないが、天正(1573~1592)の兵火がかかり、領主滝氏の縁者である宥海法印(ゆうかいほういん)が再興した。

 ご本尊は阿弥陀如来、脇仏に立江延命地蔵、如意輪観音、文殊菩薩が祀られている。寺宝の「大威徳明王像」は大威徳転法輪法によるもので、明王が悪魔を降伏させるために従者を従え、水牛に乗ってまさに矢を放とうとする姿が強く描かれている。構図・描法とも一分のすきもなく、鎌倉時代の特色をよく表している。縦117cm、横63cmで絹本著色である。

 また寺庭の石造九重塔(写真)は小さいが安定感のある荘重な感じがする層塔で四方仏の形がよく整っている。一番下の基礎には観応二年(1351)に造られたことを表す願文彫刻がある。この塔は上記の絵図と共に昭和33年に県の文化財に指定された。

 このほかにも、町の文化財に指定されている五銛杵(ごこしょ)、五輪石塔、如意輪観音画像などがあり、寺歴の古さが偲ばれる。寺庭に聳(そび)ゆる珍しい“広葉杉(こうようざん)”の大木は樹齢300余年、法煙の絶えない境内には赤トンボが飛び交い古刹の秋は酣(たけなわ)である。




昭和63年目次
89.ゴルフ場の中に珍しい高尾・古田の古城跡 昭和63年1月号
90.勝福寺の五智如来 昭和63年2月号
91.霧生の八幡さん 昭和63年3月号
92.信仰と芸術の調和 安養寺の竜の棟瓦 昭和63年4月号
93.原型どおりに新築復元された老川如来の山門 昭和63年5月号
94.茶丸稲荷さん 昭和63年6月号
95.諸木の安楽寺 昭和63年7月号
96.桃山時代の華麗な建造物 大村神社の宝殿 昭和63年8月号
97.禅寺の山門に建つ 不許葷(くん)酒の碑 昭和63年9月号
98.滝仙寺(りゅうせんじ)の文化財 昭和63年10月号
99.霧生村内検帳 昭和63年11月号
100.日本三奇鐘の一つ 大村神社の虫食鐘 昭和63年12月号

目次昭和64年/平成元年

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