火伏、鎮火の神 秋葉さんと愛宕さん
火伏、鎮火の神 秋葉さんと愛宕さん
昭和59年10月号
昔から「地震、雷、火事おやじ」といわれ、そのうちでも火事は、自然災害の最たるものとして恐れられて来ました。昔はどこの家の台所にも「火伏の神」として「秋葉さん」と「愛宕さん」のお札が貼られていたものです。
「山神さん」「水神さん」とともに「火の神 迦具土神」はどの村にも集落にも祀られてきました。
この火の神は、東は静岡県の「秋葉山」西は京都の「愛宕山」を総本山として「秋葉講」「愛宕講」を通して全国に弘布されてきました。
青山町では、勝地の「奥山愛宕権現」が火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を祭神として、古来から尊信を集めていますが、阿保方面は「秋葉さん」、種生矢持方面は「愛宕さん」と混在していますが、ともに本山が異なっていても、火の神迦具土神は同じです。

ほとんど集落毎にあった「秋葉さん」「愛宕さん」の祠や石神は、明治の神社合祀政策によって、現在の神社等に合祀されたところが多いですが、今も「講社」として残されているところがあります。
高尾の中出には、延宝8年(1680年)、鈴又には貞享4年(1687年)の愛宕さんが祀られています。中出の講社は毎年12月の祭礼の前には頭屋(当番)が京都の愛宕山に代参し「お守札」を受けてから、お祭りをする慣わしになっています。
また柏尾の「秋葉講」は今年4月全戸で「秋葉本社」に参拝したようです。
勝地の「奥山愛宕権現」も深山幽谷にあるように「秋葉山」は静岡県の奥地、標高830m、境内には千年杉が生い茂る霊地。京都の「愛宕山」は標高929m、急峻な山道を2時間ほど登らなければならないという難行の地、ともに火の神の総本山として崇められています。
近くの「秋葉さん」「愛宕さん」をお参りなさるとともに、一度は「火の神」の総本山をお訪ねになってはいかがでしょうか。
昭和59年目次
41.町内で最も古いといわれる寺脇の宝厳寺(ほうごんじ) 昭和59年1月号
42.巨岩に刻まれた高尾鈴又の不動明王 昭和59年2月号
43.じもとではかんじょうしの霧生城址 昭和59年3月
44.別府の十王石仏 昭和59年4月号
45.葛原氏・滝野氏の祖先 昭和59年5月号
46.古代のルートをしめす老川如来への道分地蔵 昭和59年6月号
47.とんがり嶽の地蔵さま 昭和59年7月号
48.大昔の古戦場 伊賀の青墓 昭和59年8月号
49.敬叟(けいそう)禅師産塚をたずねて 昭和59年9月号
50.火伏、鎮火の神 秋葉さんと愛宕さん 昭和59年10月号
51.腰山の阿弥陀さん 昭和59年11月号
52.神風の昔がしのばれる柏尾の懸仏(かけぼとけ) 昭和59年12月
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