社日(しゃにち)さん
社日(しゃにち)さん
昭和62年7月号
春分の日と秋分の日に近い「つちのえ」の日で、この日に地の神、農業の神を祭る行事である。元来、旧2月と8月の「つちのえ」の日の前後に社日をおき、春の社日には種まき、秋の社日には刈るをよしとしたようだ。
霧生の上田須木さんの裏山に高さ約80cmで、五角の石塔が建っている。これには五方に、農業・五穀・土地の神々と、台座に天保九年二月(1838年)と記してある。
『矢持のむかし』によると「殊に天保の凶作には、極度の飢饉を体験し時の藩主から厳重な勤倹節約令が出て、倹約を徹底させると共に百姓には、穀止めと称して、米麦の他国への流出を固く禁じた。その時の話しに、来年の籾種さえ食べつくし神戸(かんべ)、丸山(旧上野市)方面から籾種を買い入れて蒔いたが、土地・風土に適しない為にまた不作と、二年続きの凶作に窮乏を極めたと伝えられている。(天保七年と八年)霧生の社日は天保飢饉の記念塔である」と記している。
霧生は今年も、社日さんには「洗米、野菜、おたま、酒と魚(川魚で生きた魚。お供した後は川へ放す)等」を供えて、社日さんの祭りを営んでいる。
昭和62年目次
77.いまも残る老川如来への道 昭和62年1月号
78.青山のお大師さん 昭和62年2月号
79.江戸時代から伝わる諸木のドンド 昭和62年3月号
80.江戸時代初期の一里塚 千塚さん 昭和62年4月号
81.磨崖仏だった岩鼻(いわっぱな)地蔵 昭和62年5月号
82.瀧の権現さん 昭和62年6月号
83.社日(しゃにち)さん 昭和62年7月号
84.神宮崇敬の象徴参宮街道筋の石造常夜灯 昭和62年8月号
85.珍しい石造りの牛頭天王の社 昭和62年9月号
86.奥山権現 昭和62年10月号
87.羽柴砦 昭和62年11月号
88.町内で最も古い石塔 岡本家の十三重塔 昭和62年12月号