神宮崇敬の象徴参宮街道筋の石造常夜灯
神宮崇敬の象徴参宮街道筋の石造常夜灯
昭和62年8月号
参宮(初瀬)街道は、江戸中期から参宮道者の往来が盛んになり、阿保と伊勢路(当時は伊勢地)の宿場の宿屋や商店は、この団体客で大いににぎわった。
地元においても、神宮崇敬と村内安全を願い、参宮道者の道しるべをも兼ねて、常夜灯が続々建立されたが、街道筋(少しはずれた位置のものも含む)に今も建っている石造の常夜灯は別表のとおりであって、無銘のものもあるが、大部分は正面に「太(大)神宮」または「太一(だいいち)」と刻まれている。「太一(大一)」とは「太(大)神宮」と同じ意味である。
これらのうち、伊勢路と阿保西の二基は、いずれも宮立形で立派だが、中でも阿保西のものは、形状、大きさともに町内で最も偉大である。一時期道路の付け替えによって、人家に隠れていたが、昭和47年に再び街道筋の姿を現して、偉容を誇っている。
この参宮道筋のたくさんの石造常夜灯は、町の貴重な民俗資料として、永久に保存していきたいものだ。
所在集落 | 位置 | 形式 | 正面竿石の銘 | 年記の銘 | 高さ台石(一段)から上 | 基壇とも総高 |
伊勢路 | 豊生氏宅 東十字路 | 宮立形 | 太一 | 文政十一戊子歳二月吉日(西暦1828) | 2.20m | 3.85m |
寺脇 | 集議所東 | 自然石 | 太神宮 | 文化十二乙亥天8月吉祥日(西暦1815) | 2.05m | 2.35m |
別府 | 集議所前 | 自然石 | 太神宮 | 明治三庚午冬十月(西暦1870) | 2.70m | 2.70m |
阿保東 | 阿保橋南詰水神境内 | 自然石 | 太神宮 | なし | 2.45m | 3.45m |
阿保西 | 種生辻 | 宮立形 | 大神宮 | 安政七庚申三月(西暦1860) | 3.12m | 5.09m |
羽根 | 住沢光繁氏宅前 | 自然石 | なし | なし | 2.50m | 3.50m |
羽根 | 西村 競氏宅前 | 自然石 | なし | 大正七年十月吉日(西暦1918年) | 2.30m | 2.60m |
昭和62年目次
77.いまも残る老川如来への道 昭和62年1月号
78.青山のお大師さん 昭和62年2月号
79.江戸時代から伝わる諸木のドンド 昭和62年3月号
80.江戸時代初期の一里塚 千塚さん 昭和62年4月号
81.磨崖仏だった岩鼻(いわっぱな)地蔵 昭和62年5月号
82.瀧の権現さん 昭和62年6月号
83.社日(しゃにち)さん 昭和62年7月号
84.神宮崇敬の象徴参宮街道筋の石造常夜灯 昭和62年8月号
85.珍しい石造りの牛頭天王の社 昭和62年9月号
86.奥山権現 昭和62年10月号
87.羽柴砦 昭和62年11月号
88.町内で最も古い石塔 岡本家の十三重塔 昭和62年12月号