絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

福丸こっこ

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福丸こっこ

昭和60年11月号

 いつの時代から続いているのか不明ですが、大晦日の夕方「福丸呼び」の行事があります。この行事は町内各地で行われていますが、多少の違いはあっても内容は殆ど同じようです。

画像の説明

 ここ腰山でもこの行事が今も残っており、そこかしこで呼ぶ声が聞こえてきます。藁一把と炊きたてのご飯、古い注連縄などを持って川岸に行き(川に遠い家は人通りの多い辻)その場所にご飯をお供えし、傍で注連縄を燃やし、更に藁に火を付け、大きな声で「福丸こっこ、まるこっこ、福の神はこっちへ来い、貧乏神は向へ行け」と呼びながら藁に付いた火(福火と云います)が消えないように持ち帰り、元日からの火種を作ります(この火は元日から15日間は絶やさない)。

 昔から川には神様がやどるとの云い伝えで川の水は清いものとされていた事から川に関係する行事はこの福丸呼びのほか、2、3あり、特に元日の朝の若水汲みがある(今では水道か井戸より汲み上げる家も多い)。

 三宝の上に田畑の幸、山の幸をのせ、若水を汲む所にお供えし、「年の始めのこの川原、よろずの宝・水で汲みとる、かいこめ、かいこめ」と唱えながら若水を汲み、この水で身を清め、大晦日に呼びこんだ福火を種に元日の炊きものをする習わしをなっています。

 このような素朴で美しい行事はいつまでも伝えていきたいものです。




昭和60年目次
53.五智如来と勝地の里ー北山辺りー 昭和60年1月号
54.南朝の要害・・・高尾の城跡 昭和60年2月号
55.椎の古木 昭和60年3月号
56.江戸時代の上野街道 かんじょう坂 昭和60年4月号
57.岡田の括り地蔵への参詣 世直し捕縛(しばられ)地蔵尊 昭和60年5月号
58.いまも生きる石の燈籠 平穏と安全を希求して 昭和60年6月号
59.県指定天然記念物クマガイソウ群落 昭和60年7月号
60.青山の語源になった阿保山の昔話 昭和60年8月号
61.生活に密着した青山の竹林 昭和60年9月号
62.古刹 上津山宝珠院 昭和60年10月号
63.福丸こっこ 昭和60年11月号
64.阿保地名考 昭和60年12月号

目次昭和61年

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