福川地区の産土(うぶすな)神 八柱(やはしら)神社
福川地区の産土(うぶすな)神 八柱(やはしら)神社
平成7年3月号
福川から奥鹿野(おくがの)へ通じる道と、諸木から奥鹿野へ行く道の落ちあった右側に石の鳥居がある。古くから福川村の産土神として鎮座している八柱神社である。社名も同じ神社が奥鹿野にも祀られている。
祭神は、五男三女神。鳥居の前の道を挟んで少し下がった所に自然石で作った燈籠があり、正面には村安全。右に常夜燈。後に嘉永二酉弥生日(1849年)の銘のある姿の美しい石灯籠である。
鳥居をくぐってすぐに、神社ではあまり見かけない石造りの十三重塔がある。昭和の初期に寄進されたとのことで、軸部正面の肉刻された神。左右に年号が刻まれているようだが、浅堀のため判読はできない。
本殿や拝殿の周囲は、そばまで杉の木が覆いかぶさるように繁っているのに、境内の広場は、木の葉のひとつ落ちていないほどに掃き清められている。大変清々しく感じ、地元の方々の敬神の深さを見る思いがする。
この神社は古くから神職がなく、老川の極楽寺が管理してきたが、後に阿保の大村神社神職の管理に移り、明治41年に種生神社に合祀されたが、種生神社が遠いため、昭和16年に旧社地に遥拝祀社を新築、昭和30年には種生神社から分祀して、旧地に鎮座したものである。拝殿の横に「奉八王子権現、当村、岩崎安兵衛、宝暦十一巳年11月吉日」の銘(1761年)のある水舟が、神社の移り変わりを見ているように、今日も満水していた。
平成7年目次
173.街道いま、むかし 国見~高尾への道 平成7年1月号
174.青山高原 田代(たしろ)の今昔 平成7年2月号
175.福川地区の産土(うぶすな)神 八柱(やはしら)神社 平成7年3月号
176.二代目の阿保駅 近鉄・青山町駅の今昔 平成7年4月号
177.広域農道「千方(ちかた)橋」の完成 平成7年5月号
178.青山高原三角点 平成7年6月号
179.六郎別当(ろくろうべっとう) 平成7年7月号
180.近鉄・青山町駅付近 遺跡の発掘調査 平成7年8月号
181.兼好法師の恋ざんげ 平成7年9月号
182.勝地林道の今昔 平成7年10月号
183.諸木の産土(うぶすな)神 鹿島様 平成7年11月号
184.幻でなかった古塁砦の跡 平成7年12月号