絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

街道いま、むかし 古田の笹峰峠

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街道いま、むかし 古田の笹峰峠

平成6年5月号

 青山町の最も奥地といわれる高尾の古田地区は、今はリゾート地として開発され、ゴルフ場やホテルなどが立ち並び、標高600mという高原ながら広々と圃場整備された豊かな田園が拡がっています。その西南に一段高い山がそびえています。

画像の説明

 地元では「シャダ峰」とも「サザ峰」とも呼ばれていますが、江戸時代の藤堂藩誌である「三国地志」には「佐田山」と記され、「按、頂上ニ至ルコト十五町古田ト云ウ支郷此ニ村居ス。又勢州竹原村ヘ出ル間道アリ」と記載されています。現在の地図には「笹峰峠」と書かれ、標高は760m、尼ヶ岳に次ぐ第二の高峰です。

 この山頂や笹峰峠の一帯は笹原に「つつじ」の群生する名所でしたが、戦後の植林ブームのため杉桧が植栽され、その面影はありません。又この峠道は高尾に通じた唯一の街道でしたが、今は新しい自動車道が出来たため通行人もなく荒れています。しかし頂上付近はその面影を残しており峠は堀切になっています。頂上は「伊賀国境図絵」に「国境嶮」と記され、「狼火台跡」も見られます。
 
 この峠の西北の斜面には、戦前から戦後にかけて「県立名賀農学校の演習林」があって、多くの学生が林業の実習に励んだ跡もあります。

 また峠道の両谷には「クマガイ草」の群生地として知られましたが濫獲のため絶滅したのか見当たりません。峠の入口にはこの古田を開いた当時創立された「市杵島神社」が鎮座し、この里の発展を見守っています。




平成6年目次
161.種生天神社と小竹城跡 平成6年1月号
162.青山峠の今昔 平成6年2月号
163.霧生の灯籠はん 平成6年3月号
164.同所に三体三様の姿 羽根の庚申(こうしん)さん 平成6年4月号
165.街道いま、むかし 古田の笹峰峠 平成6年5月号
166.妙楽地の馬頭観音 平成6年6月号
167.行者山砦(とりで)跡 平成6年7月号
168.宝厳寺(ほうごんじ)裏山の霊場 二十一大師めぐり 平成6年8月号
169.街道いま、むかし 乃(野)木山(のぎやま)の道 平成6年9月号
170.熊野権現(ごんげん)奥の院さん 平成6年10月号
171.霧生高山林道の大日如来(だいにちにょらい) 平成6年11月号
172.初代の阿保駅 近鉄・比土(ひど)駅の今昔 平成6年12月号

目次平成7年

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