絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

近鉄・青山町駅付近 遺跡の発掘調査

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近鉄・青山町駅付近 遺跡の発掘調査

平成7年8月号

 近鉄の輸送力増強のための車庫新設工事を行うに先立ち、青山町遺跡調査会が平成6年内に、阿保地内の青山町駅北裏の2ヶ所を発掘調査された。その結果は既に公表されているが、近く工事が始まるらしいので、同会の承認を得て、調査資料の中から要点を再度紹介する。

1.七ケ城(しちがしろ)遺跡 
 駅北裏の耕地の西端、宇沢代地内の俗に「七ケ城」という地域内。高所の田畑から、飛鳥(あすか)時代(7世紀)の掘立(ほったて)柱建物2棟、竪穴(たてあな)住居2棟の跡発見。丘陵より、6世紀中頃から後半の円形の古墳2基、7世紀末頃の小竪穴石室、中世(13-16世紀)の墓を発見。低所の田から竪穴式住居3棟、中世の掘立柱建物1棟の跡を検出。全域から多数の土器、ほかに古墳から轍の鏃(やじり)や小刀など出土。

2.梅ケ森(うめがもり)遺跡  
 字楳ケ森(うめがもり)地内、駅ホームより少し西の線路北裏。古墳時代後期(6世紀)の竪穴住居4棟の跡、同時代中頃(5世紀)の貼り石をした珍しい陸橋状の遺構や弥生(やよい)時代後期(2・3世紀)の溝を発掘。土器も多数出土、その中にヘラ記号を描いた壺(つぼ)もある。

画像の説明

 以上のように、七ケ城古墳群は町内で調査済みの古墳のうちで最も古く、梅ケ森遺跡の陸橋状の遺構は、あまり類例がなく有力な豪族が居住していたと思われるので、阿保の集落はこちらで誕生し、木津川を渡って南へ発展した可能性も推定されるとのこと、将来の研究を待ちたい。




平成7年目次
173.街道いま、むかし 国見~高尾への道 平成7年1月号
174.青山高原 田代(たしろ)の今昔 平成7年2月号
175.福川地区の産土(うぶすな)神 八柱(やはしら)神社 平成7年3月号
176.二代目の阿保駅 近鉄・青山町駅の今昔 平成7年4月号
177.広域農道「千方(ちかた)橋」の完成 平成7年5月号
178.青山高原三角点 平成7年6月号
179.六郎別当(ろくろうべっとう) 平成7年7月号
180.近鉄・青山町駅付近 遺跡の発掘調査 平成7年8月号
181.兼好法師の恋ざんげ 平成7年9月号
182.勝地林道の今昔 平成7年10月号
183.諸木の産土(うぶすな)神 鹿島様 平成7年11月号
184.幻でなかった古塁砦の跡 平成7年12月号

目次平成8年

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