阿保地名考
阿保地名考
昭和60年12月号
国内には阿保という地名のある処は4ヶ所あるといわれる。大分県耶馬渓、姫路市の東隣、大阪府松原市とこの青山町である。
大昔は上津地域も阿保地域も共に、阿保と呼ばれていたし、近鉄比土駅、青山町駅も阿保駅と呼称された時代もあり、電車の乗客等は阿保駅に着くと「アホや」と囁いていたことを耳にされた方も多かろうと思います。
では何故、地名が阿保と名付けられ、何を意味するのでしょう。播磨風土記餝磨(しかま)郡の項や、全国に数多く例があるように、遠い昔(少なくとも6世紀以前)阿保という地名がある土地で居住していた一族集団が何かの理由で移動し、淀川を逆のぼり、この新開地に定着し、前に居住していた土地を偲び名付けたものと考えたい。
阿保の意味は漢史にも「嘗有阿保功」と散見され、また阿保に何かの関係のあった下級豪族の式部人上、式部黒麻呂は、官位獲得のための上申に「息速別命幼弱の時、天皇皇子の為に阿保に宮居を築く」と続日本書記にあるように、倚頼(いらい)して養育される意味をもつものである。
私たちも阿保の意味の如く合併30年の年若い青山町を町民が力を合わして立派に育て発展進歩させたいものと願うものである。
昭和60年目次
53.五智如来と勝地の里ー北山辺りー 昭和60年1月号
54.南朝の要害・・・高尾の城跡 昭和60年2月号
55.椎の古木 昭和60年3月号
56.江戸時代の上野街道 かんじょう坂 昭和60年4月号
57.岡田の括り地蔵への参詣 世直し捕縛(しばられ)地蔵尊 昭和60年5月号
58.いまも生きる石の燈籠 平穏と安全を希求して 昭和60年6月号
59.県指定天然記念物クマガイソウ群落 昭和60年7月号
60.青山の語源になった阿保山の昔話 昭和60年8月号
61.生活に密着した青山の竹林 昭和60年9月号
62.古刹 上津山宝珠院 昭和60年10月号
63.福丸こっこ 昭和60年11月号
64.阿保地名考 昭和60年12月号
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