絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

霧生高山林道の大日如来(だいにちにょらい)

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霧生高山林道の大日如来(だいにちにょらい)

平成6年11月号

 霧生広刎(ひろはね)から高山林道を100mほど行った右側の立派な境内に仏さまが奉納されている。「大日如来」とのことである。

画像の説明

 この場所は、10年ほど前に名張市の人が譲り受け、最近になってから、霊験あらたかな大日如来であることを知り、このままでは草に埋もれ、忘れられるのではないかと思い境内の整備をされた。

 いつ頃から祀られたのかは不明であるが、地元の人の話では、昔はこの大日さんの横に、人も通りづらいほどの急な坂道があり、田や畑に入れて肥料などにするための草を山で刈り、牛の背に乗せて下りて来たが、毎年のように足を滑らせて谷に落ちてケガをする人が多かったので、ここに道中の安全を記念して大日如来を祀ったそうだ。

 それからは事故も少なくなり地元の人々から信仰を集めたが、最近は農業も昔と違い機械化され、人の足も途切れがちであったようである。

 大日如来は、仏像では薬師如来や阿弥陀如来のような姿ではなく、頭に宝冠を頂き装身具を漬けた菩薩のような姿で、背に追う光背はまるく大きな日輪を現している。

 ここの大日如来は、祠(ほこら)の内にあり、姿を拝むことはできないが、真言密教の根本仏として如来の広大無辺の慈悲は、万物の上をあまねく照らすと言われている仏さまである。

 この大日さんも万物の息災祈願のため祀られたらしく、今日も美しい花や御酒が供えられていた。




平成6年目次
161.種生天神社と小竹城跡 平成6年1月号
162.青山峠の今昔 平成6年2月号
163.霧生の灯籠はん 平成6年3月号
164.同所に三体三様の姿 羽根の庚申(こうしん)さん 平成6年4月号
165.街道いま、むかし 古田の笹峰峠 平成6年5月号
166.妙楽地の馬頭観音 平成6年6月号
167.行者山砦(とりで)跡 平成6年7月号
168.宝厳寺(ほうごんじ)裏山の霊場 二十一大師めぐり 平成6年8月号
169.街道いま、むかし 乃(野)木山(のぎやま)の道 平成6年9月号
170.熊野権現(ごんげん)奥の院さん 平成6年10月号
171.霧生高山林道の大日如来(だいにちにょらい) 平成6年11月号
172.初代の阿保駅 近鉄・比土(ひど)駅の今昔 平成6年12月号

目次平成7年

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