絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

青山峠の今昔

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青山峠の今昔

平成6年2月号

 明和9年(1772年)に本居宣長が吉野の花見に青山峠を越えてから、今年は222年になる。 
 おかげ参り(抜け参り)の盛んだった江戸末期は、伊勢路の宿は垣内(白山町)の宿と共に難所青山峠の両袖の宿場として20数軒余の旅籠が軒をつらねていた。

 青山峠三里の道中には、“おまんこ餅”を売っていた伊賀茶屋、峠茶屋があって旅人の憩い処だった。また、伊賀伊勢の国境の峠の頂上に、青山峠地蔵(写真=赤井広清氏)さんが祀られて旅人の安全をお守りしていた。高さ98.5cmの石仏で、にこやかなお地蔵さんの右に、「みや川迄十二り半」、左に「はせ迄十一り半」の道のりが刻まれている。

画像の説明

 峠の下を、昭和5年に参宮急行電鉄(近鉄)が開通し、また旧初瀬街道が国道165号線に大改修され、旧大峠、中峠、小峠は青山トンネル、白山トンネルになって十数分で越えられる。

 大林組が施工した近鉄の旧青山トンネルは、3,432mで当時日本私鉄の最長だった。クレイン乗馬クラブあたりが、旧西青山駅でトンネルの入り口だった。青山大師の境内には、青山トンネル工事に尊い生命をおとした従事者の名前を刻んだ供養塔が建てられていて供花が絶えない。

 歴史を秘める青山峠は、近年道路、交通の著しい改良で便利になったが、国道沿いに残る苔の生えた山桜の古木、清らかな青山川のせせらぎに往時がなつかしい。




平成6年目次
161.種生天神社と小竹城跡 平成6年1月号
162.青山峠の今昔 平成6年2月号
163.霧生の灯籠はん 平成6年3月号
164.同所に三体三様の姿 羽根の庚申(こうしん)さん 平成6年4月号
165.街道いま、むかし 古田の笹峰峠 平成6年5月号
166.妙楽地の馬頭観音 平成6年6月号
167.行者山砦(とりで)跡 平成6年7月号
168.宝厳寺(ほうごんじ)裏山の霊場 二十一大師めぐり 平成6年8月号
169.街道いま、むかし 乃(野)木山(のぎやま)の道 平成6年9月号
170.熊野権現(ごんげん)奥の院さん 平成6年10月号
171.霧生高山林道の大日如来(だいにちにょらい) 平成6年11月号
172.初代の阿保駅 近鉄・比土(ひど)駅の今昔 平成6年12月号

目次平成7年

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