青山高原三角点
青山高原三角点
平成7年6月号
室生・赤目・青山国定公園の中心、青山高原三角点は、標高756mで展望台として永年ハイカーに親しまれてきた。近鉄西青山駅、東青山駅から杖を曳くハイカーたち、また、マイカーで訪れる人たちの高原の拠点である。
近年、三重県、青山町が三角点を中心に一帯を整備して美しい自然公園になった。春の満山のつつじ、秋の尾花(ススキ)の頃が四季を通じて最もすばらしい眺めである。東には伊勢の海、西南には大和紀州の連山がひろがり、晩秋から初冬にかけての晴れた朝には霊峰富士山も眺められる。
三角点の高原茶屋で、永年ハイカーに親しまれた茶店は、昭和26年に地元勝地の折戸氏が始められた。販売品はすべて地元勝地林道から肩で担い上げたのである。
当時は高原道路もなく、旧西青山駅(現在のクレイン乗馬クラブ)から細長いハイキングコースを、この三角点を目標に登山したが、茶店の前の草むらで広げた手作りのにぎりめしの味は今も忘れられない。汗を拭きふき足で歩いた高原の山の道の味わいが懐かしい。
時が流れて、高原茶屋も近年、新しいレストランに生まれ変った。
年間、30数万人が訪れるハイカーの安全を願って、毎年4月に青山町観光協会が、この三角点で山開き安全祈願祭を催している。
三角点周辺や道路が著しく整備されたが、高原の自然や眺望は昔も今も変らない。
平成7年目次
173.街道いま、むかし 国見~高尾への道 平成7年1月号
174.青山高原 田代(たしろ)の今昔 平成7年2月号
175.福川地区の産土(うぶすな)神 八柱(やはしら)神社 平成7年3月号
176.二代目の阿保駅 近鉄・青山町駅の今昔 平成7年4月号
177.広域農道「千方(ちかた)橋」の完成 平成7年5月号
178.青山高原三角点 平成7年6月号
179.六郎別当(ろくろうべっとう) 平成7年7月号
180.近鉄・青山町駅付近 遺跡の発掘調査 平成7年8月号
181.兼好法師の恋ざんげ 平成7年9月号
182.勝地林道の今昔 平成7年10月号
183.諸木の産土(うぶすな)神 鹿島様 平成7年11月号
184.幻でなかった古塁砦の跡 平成7年12月号