地震除けの神さま要(かなめ)石
地震除けの神さま要(かなめ)石
昭和55年9月号
地震・カミナリ・火事・オヤジ、この四つは、昔からコワイものの代表とされてきた。戦後オヤジの権力も弱まり、避雷針のおかげでカミナリの被害も少なくなった。しかし、地震と火事の二つは、今も話を聞くだけで恐ろしい。特に地震については「近く東海大地震がある」と騒がれ、大規模地震対策特別措置という法律までできて、国も地方も、この防災対策に神経を尖らしている。
こうした世情の反映で脚光を浴びているのが大村神社の『要石』。かなめ石とは、地上と地下の接点を扇の要のようにぐっと締めつけ、どんな揺れも防ぐ石といわれ、地震除けの守り神さまである。要石の御霊験は、極めてあらたかで、安政元年の伊賀上野大地震、大正12年の関東大震災、昭和2年の奥丹後大地震、昭和19年の北伊勢湾大地震などのとき、阿保近在だけは、不思議と難をまぬがれたといわれる。
この地に祀られたのは、神護景雲元年というから今より1200年も前のこと、それ以来氏子たちは「ゆらぐとも、よもやぬけまじ要石、大村神のあらんかぎりは」と社前の立札に書かれたとおり、地震の災禍から守られてきた。別府の嶋岡博氏は奥丹後大地震の折、現地で小学校教員をしていたため崩れた後者の下敷きとなり、もうだめだと思ったが、要石のお守りで救われた、という実話を『要石御霊験記』にまとめられている。
かなめ石を祀る祠
最近、新聞やテレビがこれを紹介したので各地からお守りの注文が殺到し、神社側でも9月1日の防災の日に盛大な地震除災祈願祭を行うそうである。
昭和55年目次
1.2000年のロマンを秘めた柏尾銅鐸 昭和55年7月号
2.霊験あらたかな奥山大権現参道の丁石 昭和55年8月号
3.地震除けの神さま要(かなめ)石 昭和55年9月号
4.日本三体といわれる老川如来 昭和55年10月号
5.〝徒然草〟はここで書かれた種生国見山 昭和55年11月号
6.むかし開拓いまゴルフ メナード青山カントリー 昭和55年12月号
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