絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

茶丸稲荷さん

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茶丸稲荷さん

昭和63年6月号

 国道165号線の中山トンネルを抜けると下川原の集落が開ける。三交バス停前の岩野さんの東を南に入ると新緑の中に朱塗りの鳥居がある。古くから下川原区民の守護神として崇敬されてきた“茶丸稲荷さん”の参道入口である。

画像の説明

 小鳥の囀る青葉の参道を登ると150m程で茶丸山の頂に出る。参道には篤信の方が奉納したいくつもの朱塗りの鳥居が建っていて青葉の緑と調和して美しい。ここに茶丸稲荷さんが鎮座している。

 創祀の歴史は古く、下川原村開村の文明年間(約500年前)と伝えられている。その後、下川原村郷士富増氏居宅をこの山続きに建設し村を守る処とした。後世天正伊賀乱の掛田城として天正7年、天正9年の戦乱で織田軍と戦った古戦場である。

 今も山の処々に城跡が残っていて昔日が偲ばれる。富増氏が中心となって区民とこの稲荷社を崇敬してきた。明治17年に富増家は絶えたが、以後下川原区民によって維持されてきた。

 明治39年に神社合祀令が出て式内比々岐神社に合祀されたが、住民は旧社地を拝所として参拝を続けてきた。社殿の無いのが淋しく昭和2年新しく社殿を建て、京都の伏見稲荷から御分霊を請けてお祀りし、現在に至っている。

 この山一帯が昔から茶所として有名であり、また山の形も刈り込んだ茶のように丸い。お稲荷さんに故地茶所の名をつけて「茶丸稲荷」と尊崇した所以である。古い歴史を包んでもう夏蝉が鳴いている。




昭和63年目次
89.ゴルフ場の中に珍しい高尾・古田の古城跡 昭和63年1月号
90.勝福寺の五智如来 昭和63年2月号
91.霧生の八幡さん 昭和63年3月号
92.信仰と芸術の調和 安養寺の竜の棟瓦 昭和63年4月号
93.原型どおりに新築復元された老川如来の山門 昭和63年5月号
94.茶丸稲荷さん 昭和63年6月号
95.諸木の安楽寺 昭和63年7月号
96.桃山時代の華麗な建造物 大村神社の宝殿 昭和63年8月号
97.禅寺の山門に建つ 不許葷(くん)酒の碑 昭和63年9月号
98.滝仙寺(りゅうせんじ)の文化財 昭和63年10月号
99.霧生村内検帳 昭和63年11月号
100.日本三奇鐘の一つ 大村神社の虫食鐘 昭和63年12月号

目次昭和64年/平成元年

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