絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

諸木の安楽寺

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諸木の安楽寺

昭和63年7月号

 緑したたる静かな山ふところに抱かれた諸木の村なかに、曹洞宗慈眼山安楽寺(住職小竹泰淳和尚)がある。

画像の説明

 西暦1500年頃には、この集落の東北隅に今も伽藍跡と伝えられている場所にあったようで、天正9年(1581年)9月の戦乱〈伊賀天正の乱〉に寺院・民家ほとんど焼かれた後、元禄2年(1689年)に地元の有力者の資力で現在位置に再建されたと伝えられている。

 この戦乱で焼失の際、織田方の兵士が当寺の本尊観音菩薩が霊仏であることを知り、これを奪って背に負い伊勢境の峠まで運んで来たところ、この尊像が動かなくなり、遂に元の場所に返したという話が伝えられており、伊勢境の峠は今も観音峠と呼んでいる。

 また、この寺の門前には、青山町では3ヵ寺に比較的古い「結界石」なるものがある。「不許葷酒入山門」の銘文のある石塔であるこの塔は、律宗や禅宗の寺院に多く見られるが、銘文も種々あって「禁葷酒」とか「不許葷酒肉入山門」のほか「不殺生界」などと書かれたものもあり、造立時期も江戸時代(1600年)以降のものがほとんどである。この銘文中の「葷」は韮・大蒜などの臭気のある蔬菜類と芥・唐辛子などの刺激性のものや、肉類を含めた勢力が出ると言われる食物を携えて立ち入ることを禁じるという意味である。安楽寺の石塔は、文政10年(1827年)の造立である。




昭和63年目次
89.ゴルフ場の中に珍しい高尾・古田の古城跡 昭和63年1月号
90.勝福寺の五智如来 昭和63年2月号
91.霧生の八幡さん 昭和63年3月号
92.信仰と芸術の調和 安養寺の竜の棟瓦 昭和63年4月号
93.原型どおりに新築復元された老川如来の山門 昭和63年5月号
94.茶丸稲荷さん 昭和63年6月号
95.諸木の安楽寺 昭和63年7月号
96.桃山時代の華麗な建造物 大村神社の宝殿 昭和63年8月号
97.禅寺の山門に建つ 不許葷(くん)酒の碑 昭和63年9月号
98.滝仙寺(りゅうせんじ)の文化財 昭和63年10月号
99.霧生村内検帳 昭和63年11月号
100.日本三奇鐘の一つ 大村神社の虫食鐘 昭和63年12月号

目次昭和64年/平成元年

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