ゴルフ場の中に珍しい高尾・古田の古城跡
ゴルフ場の中に珍しい高尾・古田の古城跡
昭和63年1月号
白球が飛び交うメナードゴルフ場は、広大な布引開拓地の跡を開発したもので、青山町と白山町・美杉村の境界にまたがっています。
このゴルフ場の15番ホールの横の山の中に、南北朝時代の古い城跡が現存しています。この城は「古田堡」といわれ、南朝の忠臣で、伊勢國司北畠家の出城で「伊賀の口」の拠点であったと伝えられています。
江戸の藩史「三国地志」に「古田堡」正中年間、「伊勢國司文ヲ築キ、本國ノ目代ヲ置く。」と書かれ「小田越中守、田中備前守、滝川佐兵衛尉、真柄宮内少輔ら」が派遣され城を守ったとされています。
城は長方形に土塁が築かれ、周囲に空堀が残っています。ここに「烽火(のろし)台」があって伊賀から敵の来襲があったときは「烽火」をあげて本城である霧山城(美杉村多気)へ、急ぎ知らせたといわれています。
「伊勢戦乱日記」によれば正中年間に近江の佐々木六角入道が、この城を攻め、小田越中守が討死し、城兵は伊勢へと敗走したという古戦場であったと伝えています。
この城の地籍は美杉村八鉢であるところから「八鉢城」とか「弥八城」ともいわれていますが、伊勢よりも古田の集落が近く古田の「城の腰」として知られています。
近代的なゴルフ場の中に古い城跡とは珍しく、保存につとめたいものです。
昭和63年目次
89.ゴルフ場の中に珍しい高尾・古田の古城跡 昭和63年1月号
90.勝福寺の五智如来 昭和63年2月号
91.霧生の八幡さん 昭和63年3月号
92.信仰と芸術の調和 安養寺の竜の棟瓦 昭和63年4月号
93.原型どおりに新築復元された老川如来の山門 昭和63年5月号
94.茶丸稲荷さん 昭和63年6月号
95.諸木の安楽寺 昭和63年7月号
96.桃山時代の華麗な建造物 大村神社の宝殿 昭和63年8月号
97.禅寺の山門に建つ 不許葷(くん)酒の碑 昭和63年9月号
98.滝仙寺(りゅうせんじ)の文化財 昭和63年10月号
99.霧生村内検帳 昭和63年11月号
100.日本三奇鐘の一つ 大村神社の虫食鐘 昭和63年12月号