巨岩に刻まれた高尾鈴又の不動明王
巨岩に刻まれた高尾鈴又の不動明王
昭和59年2月号
その昔、大日如来が化身して悪魔を降伏させたという、不動明王は、また人間の煩悩をたちきる信仰、修験道の祖として尊信をうけ各地でまつられています。
深山幽谷にこもり、滝など渕などで身を清め、一切の雑念を去り、一心にお題目を唱え、悪魔退散、煩悩解脱を祈ったと伝えられています。
青山町でも羽根の不動院をはじめ、多くの不動尊がまつられていますが、高尾の鈴又(すずまた)から500mほどの奥の不動滝のかたわらに、巨大な自然岩に刻みまつられた不動明王があります。
多くの不動尊や石仏などは、他から刻まれ、ほこらや堂の中にまつられているのが多く見られますが、この不動尊は、滝のほとりの自然の岩に刻みつけられた珍しいものといえます。
「不動大明神」その左下に「享保九年十二月吉日」と創祀の日も刻まれています。
江戸期の享保9年(1724年)頃は、各地で悪疫が流行し、死者が続出したので、この滝の巨岩に「不動明王」を奉祀し「悪病退散、村中安全」を祈願したと伝えられています。以来250年間毎年1月20日に例祭として村中が集って奉祀することになり、明治7年の「のぼり」も今に伝えられています。
今は林道がこの「不動明王」のそばを走り、荘厳さは損なわれていますが、創祀当事植えられたと伝えられる一本杉は樹齢250年余りの巨大な神木として残されて、神秘な「不動信仰」の面影をとどめているのです。
昭和59年目次
41.町内で最も古いといわれる寺脇の宝厳寺(ほうごんじ) 昭和59年1月号
42.巨岩に刻まれた高尾鈴又の不動明王 昭和59年2月号
43.じもとではかんじょうしの霧生城址 昭和59年3月
44.別府の十王石仏 昭和59年4月号
45.葛原氏・滝野氏の祖先 昭和59年5月号
46.古代のルートをしめす老川如来への道分地蔵 昭和59年6月号
47.とんがり嶽の地蔵さま 昭和59年7月号
48.大昔の古戦場 伊賀の青墓 昭和59年8月号
49.敬叟(けいそう)禅師産塚をたずねて 昭和59年9月号
50.火伏、鎮火の神 秋葉さんと愛宕さん 昭和59年10月号
51.腰山の阿弥陀さん 昭和59年11月号
52.神風の昔がしのばれる柏尾の懸仏(かけぼとけ) 昭和59年12月
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