町内で最も古い石塔 岡本家の十三重塔
町内で最も古い石塔 岡本家の十三重塔
昭和62年12月号
町内には、寺脇の宝厳寺の五輪塔[観応元年(1350年)銘、町文化財]、滝の滝仙寺の九重塔[観応2年(1351)銘、反り花(かえりばな)という石を余分に後から加えた以外は、創建時の完全な姿を保つ荘重な塔で、県文化財]、霧生の天照寺の五輪塔[正平17年(1362)銘、町文化財]など、南北朝時代の古い立派な石塔が数多くあるが、もっと古い鎌倉時代の石塔が羽根にある。

羽根の安楽寺の最近本堂とともに建て替えられた雄大な山門をくぐってすぐ左(西)の共同墓地内の塀ぎわ、岡本家基地に墓石と並んで、いかにも歴史を感じさせる古い石塔が建っている。これは岡本家の御先祖が、供養のため不動さんへの参道の入口近くの小寺に建てたものだそうで、この小寺の廃止のときに今の場所へ移し、一時期本堂前に移されたことがあるが、昭和32年に再び現在のところに移された。
この塔は総高3.02mで、本来は十三重塔であるが一層が不足し実際は十二層であるし、そのうち一層は後年補充したものであり、相輪(そうりん=最上部の筒型の石)の先端約三分の二が欠損し、また軸部(下部の方形の石で、普通四方仏が、これに代わる種子(しゅうじ)という梵字を刻む)も欠いているので、全体の美は失われているが、基壇に「元応3年(1321)辛酉三月日 願主祐善 大工元未」と、造立趣意銘が刻まれていて、町内でも最も古い鎌倉時代の石塔で、町有形文化財に指定されている。
昭和62年目次
77.いまも残る老川如来への道 昭和62年1月号
78.青山のお大師さん 昭和62年2月号
79.江戸時代から伝わる諸木のドンド 昭和62年3月号
80.江戸時代初期の一里塚 千塚さん 昭和62年4月号
81.磨崖仏だった岩鼻(いわっぱな)地蔵 昭和62年5月号
82.瀧の権現さん 昭和62年6月号
83.社日(しゃにち)さん 昭和62年7月号
84.神宮崇敬の象徴参宮街道筋の石造常夜灯 昭和62年8月号
85.珍しい石造りの牛頭天王の社 昭和62年9月号
86.奥山権現 昭和62年10月号
87.羽柴砦 昭和62年11月号
88.町内で最も古い石塔 岡本家の十三重塔 昭和62年12月号