絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

青山のお大師さん

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青山のお大師さん

昭和62年2月号

 国道165号線のクレイン乗馬クラブ(旧西青山駅跡)から、伊勢の方へ100mほど行くと、急カーブの左手に、老樹の繁った青山のお大師さんがある。国道改修により、境内は、路面より低くなっているが、以前はこの境内の前を、初瀬街道(旧国道)が通っていた。

 自然石の岩壁に掘られた磨崖仏(まがいぶつ)が初瀬街道の名所”青山地蔵“である。にこやかなお顔の、このお地蔵さんは、弘法大師一夜の作と伝えられている。

 今から青山峠の険所を越えようとする旅客は、ここで道中安全を祈願し、峠を越えてきたものは、地蔵さんの前にぬかずいて、安全通過を感謝した。

画像の説明

 江戸中期頃から、特に伊勢神宮への集団参拝が盛んになったが、阿保、伊勢路への旅籠で、長い旅の一夜を過ごした善男善女が、青山峠の難所にさしかかる入口のお大師さんに、旅の安全を祈った昔日の賑わいが偲ばれる。

 このあたりには、旧街道の山桜の古木が今も残っていて、4月下旬頃には満開となり、ドライバーの眼を楽しませてくれる。

 昭和5年に、近鉄が開通したが、青山トンネル開さく工事に尊い生命をおとした工事関係者の名前を刻んだ供養塔が、境内に建てられていて、お地蔵さんと共に季節の供花が絶えない。

 昼直暗い境内は、いつも美しく清掃されているが、善福寺【伊勢路】さん初め、地元伊勢路お大師講の篤信の皆さんが、ご奉仕くださっている由である。

 また、附近に旧街道の伊賀茶屋跡があるが、老女おまんがよもぎの小餅を旅人に売っていた。色白、柳腰で、そのうえ愛想がよかったので、“おまんこもち”の茶店として旅人に親しまれ、青山峠の名所となったという。

 今は、車で短時間に越えられる青山峠だが、峠にまつわる昔日の歴史は古い。今年も春がくれば、山桜が美しく咲くことだろう。




昭和62年目次
77.いまも残る老川如来への道 昭和62年1月号
78.青山のお大師さん 昭和62年2月号
79.江戸時代から伝わる諸木のドンド 昭和62年3月号
80.江戸時代初期の一里塚 千塚さん 昭和62年4月号
81.磨崖仏だった岩鼻(いわっぱな)地蔵 昭和62年5月号
82.瀧の権現さん 昭和62年6月号
83.社日(しゃにち)さん 昭和62年7月号
84.神宮崇敬の象徴参宮街道筋の石造常夜灯 昭和62年8月号
85.珍しい石造りの牛頭天王の社 昭和62年9月号
86.奥山権現 昭和62年10月号
87.羽柴砦 昭和62年11月号
88.町内で最も古い石塔 岡本家の十三重塔 昭和62年12月号

目次昭和63年

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