絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

県指定文化財「たわらや」の看板類

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県指定文化財「たわらや」の看板類

平成2年8月号

 今の阿保商店街は、昔の参宮街道阿保宿の町並みである。江戸時代の中頃から明治の初めにかけて、集団的なお伊勢参りが盛んに行われてにぎわったが、阿保宿は宿泊地でもあったようだ。

画像の説明

 「たわらや」は約290年前の創業で、数ある宿屋の中でも特別に大きく、宿泊客数も抜群であったそうで、現在もなお営業を続けている。

 当時の定期的な参宮旅行者は、講という団体を組織し、定宿を契約して、講名を刻んだ看板を渡し、掲げてもらった。「たわらや」には、その看板が今も100余枚残っていて、本館の玄関を入ったロビーに74枚掲げられ、そのうち69枚が「たわらや清右衛門」の店看板とともに、三重県の民俗文化財に指定されている。これらは大小さまざまだが、大体長方形で、厚さ3cmぐらいの「けやき」材を用い、講名・地名・標識・年号などを刻み、彩色、うるし塗りの立派なもので、衝立式のものもあり、年代は文政13年(1830)から明治29年(1896)までである。

 また、取りこわし前の広大な旧本館内部の写真も掲げられていて、往時をしのぶことができるし、飾り戸棚の中には講の道中日記、案内書、道中地図、道中規則、木製の道中手形、創立当時からの店の判や珍しい女中さんの名簿など貴重な資料が陳列されており、お願いすれば、すべて自由に見学させていただくことができる。

※「たわらや」は初瀬(はせ)街道の阿保宿(あおじゅく)で、江戸時代から昭和63年頃まで旅館・割烹料理屋として営業していた。現在、建物は解体され、その跡地の一角が「初瀬街道交流の館『たわらや』」となっている。




平成2年目次
113.伊賀・伊勢の境 布引峠の今昔 平成2年1月号
114.伊賀の中山 平成2年2月号
115.諸木のふれあい広場 平成2年3月号
116.指形の道標が示す川上の大円寺 平成2年4月号
117.江戸の文化を今に伝える伊賀名句集 平成2年5月号
118.伊勢路の天王はん 平成2年6月号
119.諸木氏城跡 平成2年7月号
120.県指定文化財「たわらや」の看板類 平成2年8月号
121.県指定天然記念物 奥山権現のブナ林 平成2年9月号
122.名張の沃野(よくや)をうるおす新田水路 平成2年10月号 
123.弘法大師の三度栗 平成2年11月号
124.初代斎王の頓宮跡か照皇宮神明社(しょうこうぐうしんめいしゃ) 平成2年12月号

目次平成3年 

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