いまも生きる石の燈籠 平穏と安全を希求して
いまも生きる石の燈籠 平穏と安全を希求して
昭和60年6月号
青山町の神社やお寺には、奉納された石の燈籠(とうろう)が数多く建っています。古くは江戸初期から現在までその数は90基をこえています。
これらの燈籠の多くは「五穀豊穣(ごこくほうじょう)、氏子安全」と刻まれ、豊作と安全を祈り、安穏と平和を希求した強い信仰を物語っています。
こうした石の燈籠は、江戸の中後期から明治にかけて村の中央や街道口に建てられるようになり、その数は90基をこえ「大神宮 村中安全」と刻まれたものが20基もあります。
これは伊勢講を中心とした、大神宮崇拝が広がりをみせ、伊勢街道に面した青山町では宿場町として賑わった時代で、それを象徴するかのように、阿保西町に高さ6m余りの大燈籠が建っています。
この村の中央に建つ燈籠は「常夜燈」と呼ばれ、常夜当番が決められ、年中休むことなく点燈されたといわれています。
暗い夜空に毎夜燈される一つの燈、それは村の安全と団結を守る「不滅の灯」であったといえます。
その灯も今は味気のない電燈になり、いつしかあかりは消え空しく蔦がからみつき、昔日の遺物となってしまったものも数多くみられます。
しかし時代は移り変っても、「平穏」と「安全」を願う心は生きています。
種生の中心部、忠魂碑の下の街道に面して、自然石を組み合せた巨大な「昭和」の石燈籠が建っています。右に「交通安全」左に「照一隅」と刻まれ、道往く人と車に交通安全を呼びかけています。
これは昭和51年、明治100年を記念して種生地区の有志の人々が建てられたもので、昭和の時代を映して永遠に残ることでしょう。
昭和60年目次
53.五智如来と勝地の里ー北山辺りー 昭和60年1月号
54.南朝の要害・・・高尾の城跡 昭和60年2月号
55.椎の古木 昭和60年3月号
56.江戸時代の上野街道 かんじょう坂 昭和60年4月号
57.岡田の括り地蔵への参詣 世直し捕縛(しばられ)地蔵尊 昭和60年5月号
58.いまも生きる石の燈籠 平穏と安全を希求して 昭和60年6月号
59.県指定天然記念物クマガイソウ群落 昭和60年7月号
60.青山の語源になった阿保山の昔話 昭和60年8月号
61.生活に密着した青山の竹林 昭和60年9月号
62.古刹 上津山宝珠院 昭和60年10月号
63.福丸こっこ 昭和60年11月号
64.阿保地名考 昭和60年12月号
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