絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

上津山・宝珠院

文字サイズ:

上津山・宝珠院

平成5年2月号

 木津川の清流に沿う北山の鬱蒼たる社叢“比々岐の杜”に真言宗豊山派の古刹宝珠院が奉祀されている。御本尊は、不動明王さんで伊賀四国第20番の札所である。開基は不詳だが、天正の兵災までは、東坊、西坊、北坊、新坊の4寺院があり、本堂の宝珠院を九坊と称したと伝えられている。

画像の説明

 明治維新までは、隣接している比々岐神社の別当寺であった。天正の兵災で灰燼(かいじん)に帰したのち本堂だけ仮堂で再建し、31年後の慶長17年に法印英尊が復興された。

 寛文年間に、住職鏡宥が托鉢で建造した鐘楼は、戦後改築され梵鐘は下川原の亡き篤信の福持政次郎・隆郎父子の寄進によるもので、毎朝6時に時報の鐘が上津の里にひびきわたる。

 文化財としては、南朝年号興国3年(1342年)の奥書がある法華経があり町の文化財に指定されている。

 戦後、無住で荒廃していた寺院を、先住西岡真海師が東奔西走して復興された。境内に大師堂を建立、また馬頭観音様を祀られた。毎年9月には青山町畜産組合の皆様がねんごろな慰霊法要を営んでいる。また、寺庭に上津地区戦没者を顕彰する忠魂碑がある。

 春は境内の桜、秋はもみじが美しく杖を引く人が絶えない。道を隔てて、高津小学校があり児童たちの元気な声がきこえる。鳥獣保護区に指定されている森は、野鳥の宝庫で四季おりおりの囀(さえず)りがたえない。




平成5年目次
149.古い歴史を伝える老川・若宮神社 平成5年1月号
150.上津山・宝珠院 平成5年2月号
151.山の神さん 平成5年3月号
152.神と仏と古墳が共存するお稲荷さんの丘 平成5年4月号
153.再納の由緒を伝える極楽寺の鰐口(わにぐち) 平成5年5月号
154.比々岐の森 平成5年6月号
155.堀抜氏頌功(しょうこう)碑 平成5年7月号
156.初瀬街道の難所 八町坂改修紀功碑 平成5年8月号
157.田舎暮しの拠点・守口憩の郷 平成5年9月号
158.朝日山 喜福寺 平成5年10月号
159.野田のお不動さん 平成5年11月号
160.郷士・福森氏宅址(たくし) 福森氏城跡 平成5年12月号

目次平成6年

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional