朝日山 喜福寺
朝日山 喜福寺
平成5年10月号
北山公民館の東にある「大師霊場道」の寺標(明治9年建)を左に折れて約300m参道を登ると、伊賀四国霊場第9番の札所、喜福寺が祀られている。
愛宕山を背にして高台の寺域は、上津で一番早く朝日が射すので朝日山の寺号がつけられた。
御本尊は阿弥陀如来で脇仏に薬師如来、地蔵菩薩、虚空蔵菩薩が安置されている。
江戸時代の初期、天和3年(1683年)に宝珠院住職英尊師の弟子、宥尊師が久保橋の南約100m、庚申塚の所に開基したという。
その後、元文年中(1736~40年)に火災にあい本堂並びに宝物その他一切を焼失した。第五世宥範師が愛宕山の現在地に再建した。
脇仏の薬師如来像は、現在地より下ったところにあった薬師寺の本尊と伝えられている。奈良西大寺の古文書に、「伊州北山村に七仏薬師院あり」とあるのは、この薬師寺のことだろう。
寺庭には老松と樹齢100余年の百日紅があり、朝日山のお堂を守って古い寺歴を物語っているようだ。
境内からの眺望がすばらしく、近鉄電車の線路を越えて遠く青山の山並みが美しい。まさしく借景の寺庭である。
現在の本堂は昭和39年に改築されたもので、近年檀信徒の協力で無縁塔、墓地などが整備され境内が一新した。秋草が風になびいて朝日山の秋酣(たけなわ)である。
平成5年目次
149.古い歴史を伝える老川・若宮神社 平成5年1月号
150.上津山・宝珠院 平成5年2月号
151.山の神さん 平成5年3月号
152.神と仏と古墳が共存するお稲荷さんの丘 平成5年4月号
153.再納の由緒を伝える極楽寺の鰐口(わにぐち) 平成5年5月号
154.比々岐の森 平成5年6月号
155.堀抜氏頌功(しょうこう)碑 平成5年7月号
156.初瀬街道の難所 八町坂改修紀功碑 平成5年8月号
157.田舎暮しの拠点・守口憩の郷 平成5年9月号
158.朝日山 喜福寺 平成5年10月号
159.野田のお不動さん 平成5年11月号
160.郷士・福森氏宅址(たくし) 福森氏城跡 平成5年12月号