絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

神と仏と古墳が共存するお稲荷さんの丘

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神と仏と古墳が共存するお稲荷さんの丘

平成5年4月号

 岡田橋のある南詰付近、中部電力送電線鉄塔のそばから急な石段を百余段登った丘の上に、銅板葺(ぶ)きで菊山稲荷大明神を祭った高さ約1.5mの小祠がある。

 このお稲荷さんは、昔から集落の北西の菊山に鎮座していたのを岡田区が大正3年(1914)にお移しして以来、区・家内安全と五穀豊穣の守護神として、参拝を絶やさないし、毎年1月12日前後に、別府の伏見稲荷大社伊賀熊鷹教会長さんの出張を願って、お祭りを斎行している。

画像の説明

 維持は区が当たるが、祭事は区の中の9戸で組織する明神講員が輪番で当たり、その日は、小豆(あずき)飯に油揚げをのせ、煮干し(じゃこ)で留めたもの18個を3組つくり、桧葉(ひば)を敷いて、神前と菊山・寺山にお供えするならわしが続いている。

 小祠の横から少し上がると広場があり、修験道お(しゅげんどう)の祖といわれる役行者(えんのぎょうじゃ)の石像が建っている。高さ台とも115cmで、腰掛け姿を線彫りにしてあって、ちょっと珍しい。前の石灯籠(いしどうろう)に享保8年(1723)の銘があるので、江戸中期以前からの山岳信仰がうかがえる。

 よく見ると、ここは古墳(岡田向2号墳=6,7世紀の円墳)で、盛り土の前半分を平らに削り、石像の建つ後半分は残している。すぐ後方に同3号墳があり、正方形に近い方墳(角形の古墳)で、大変珍しい。少し離れた奥の方に4号墳(円墳)もあり、三基直列の群集墳を形成している。

 この丘は神と仏と古墳が共有する聖域と言えそうだ。




平成5年目次
149.古い歴史を伝える老川・若宮神社 平成5年1月号
150.上津山・宝珠院 平成5年2月号
151.山の神さん 平成5年3月号
152.神と仏と古墳が共存するお稲荷さんの丘 平成5年4月号
153.再納の由緒を伝える極楽寺の鰐口(わにぐち) 平成5年5月号
154.比々岐の森 平成5年6月号
155.堀抜氏頌功(しょうこう)碑 平成5年7月号
156.初瀬街道の難所 八町坂改修紀功碑 平成5年8月号
157.田舎暮しの拠点・守口憩の郷 平成5年9月号
158.朝日山 喜福寺 平成5年10月号
159.野田のお不動さん 平成5年11月号
160.郷士・福森氏宅址(たくし) 福森氏城跡 平成5年12月号

目次平成6年

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