信仰と散策の浄域十七明神社跡付近
信仰と散策の浄域十七明神社跡付近
昭和61年8月号
幻と現実、昔と今、神と仏が仲良く同居する珍しい浄域が桐ケ丘5丁目のすぐ北の裏山(正しくは柏尾字宮山口)にあります。
先ず、駐車場のすぐ左上の最近建立された、大阪の「求法(ぐほう)山本要寺」の別院と、日光二荒山神社内の「滝王大権現」の御分体を勧請された御堂の二つを拝した後、すぎ、ひのき林の中の道を少し上りますと、すぐ右に柏尾の有志の方がまつる伊勢川上八幡の分社「若宮八幡神社」の木造の鳥居と、小祠があります。

さらに上った坂の頂上付近から右へ別れる道を少し登って下がると、すぎ木立の平な広場が二つと奥の方に二段の高台があります。ここは、明治40年に大村神社へ合祀されましたが、天正13年(1585)から頭屋帳(県民俗資料)が今も書き続けられている柏尾の元氏神「十七明神社(奥の権現)」の跡地で、手洗鉢や社の台石が残っています。
その下方の竹藪あたりが、天正4年(1576)織田信長に滅ぼされた伊勢の国司北畠氏の家臣が住みつき、建立したという幻の「般若寺(実在した記録はあるが創始、廃寺の時期不詳)」の跡と伝えられ、十七明神社の本地仏で、今柏尾の北の権現にまつられている懸仏(町文化財)は、この寺のものだったといいます。
また、その一隅に明治42年勧請の珍しい石造の小祠「琴明神」もまつられており、坂の頂上まで戻って北へ下がり、古い石仏などの多い柏尾の里へ出てもよい信仰と散策に好適の場所です。
昭和61年目次
65.高原の守り神 古田の市杵島神社 昭和61年1月号
66.伊勢路善福寺と藤堂作兵衛奉納の観音様 昭和61年2月号
67.薬師さん 昭和61年3月号
68.阿保宮道筋の「かんせい」地蔵と薬師堂 昭和61年4月号
69.天満神社の“珍しい山の神々” 昭和61年5月号
70.正治権現(しょうじごんげん)さん 昭和61年6月号
71.伝説「千方の笛吹き石」 昭和61年7月号
72.信仰と散策の浄域十七明神社跡付近 昭和61年8月号
73.旧峠道に建つ高座子宝地蔵 昭和61年9月号
74.一本松の地蔵さん 昭和61年10月号
75.河川の神 弁天様 昭和61年11月号
76.幻の温泉郷も含むなつかしの阿保小唄 昭和61年12月号