伊勢路善福寺と藤堂作兵衛奉納の観音様
伊勢路善福寺と藤堂作兵衛奉納の観音様
昭和61年2月号
善福寺、山号を閼伽井山と称し、弘法大師ゆかりの霊地です。また、藤堂高虎の叔母の子、箕浦作兵衛忠光の住地と伝え、その念持仏観音像が納められている寺でも知られている。真言宗豊山派、伊賀八十八箇所廿一番の札所です。境内には聖天堂及元亀年代建立の延命地蔵尊があり、聖天堂は現住職の祖父高海僧正が建立される。

境外地、青山大師及び四国霊石に依る八十八箇所石仏が有名で参拝者多し。寺宝には町文化財の両界曼荼羅及び八祖大師の絵画像、軸があります。また墓地には葛原氏祖先葛原半太夫の墓あり。箕浦代々について記します。伝えでは箕浦氏家祖忠光は葛原氏、滝野氏の家祖と共に四国より、現青山町伊勢路の地に移り住んだようです。
箕浦忠光が高虎の叔母と結婚し、藤堂氏に仕え、慶長10年禄高二千石を受け賜姓藤堂を名残る。子孫二代忠久、三代忠孝、四代光押、五代光貞、六代光教、七代光弘、八代光政、九代光吉明治九年歿、五百五十石、明治新政となる。現在伊勢路箕浦氏はその一族で江戸中期帰農、伊勢路の宿場に新屋の屋号で旅館を営む。善福寺観音像は始め上野愛宕山大福寺に納められておったが、箕浦氏ゆかりの伊勢路に祀られたのも遠い祖先の霊の導きだろう。
江戸時代、伊勢路の宿場町は度々大火を発し、村氏神に火の神愛宕神を迎え祭っておったが、明治40年神社合祀により廃社となる。浅野高海氏霊感を受けしか元の祭地に聖天堂建立を計画、火災防除の祈願をされたのである。又、氏は上津村長として盡された功大也。
昭和61年目次
65.高原の守り神 古田の市杵島神社 昭和61年1月号
66.伊勢路善福寺と藤堂作兵衛奉納の観音様 昭和61年2月号
67.薬師さん 昭和61年3月号
68.阿保宮道筋の「かんせい」地蔵と薬師堂 昭和61年4月号
69.天満神社の“珍しい山の神々” 昭和61年5月号
70.正治権現(しょうじごんげん)さん 昭和61年6月号
71.伝説「千方の笛吹き石」 昭和61年7月号
72.信仰と散策の浄域十七明神社跡付近 昭和61年8月号
73.旧峠道に建つ高座子宝地蔵 昭和61年9月号
74.一本松の地蔵さん 昭和61年10月号
75.河川の神 弁天様 昭和61年11月号
76.幻の温泉郷も含むなつかしの阿保小唄 昭和61年12月号