絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

河川の神 弁天様

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河川の神 弁天様

昭和61年11月号

 昔から福の神と言えば「七福神」と言う程ありがたい神様と崇められてきました。なかでも大黒様やえびす様は各家々に深く信仰を受け、他の神様は掛け軸か床置として見ることが多い。この七福神の中では唯一人の女神である弁天様は、村々の河川の守り神として随所に祀られている。

 ここ霧生の里にも数箇所ある。上田清夫氏宅の裏山の杉桧の林の中に、樹齢100年を越えると思われる程大きな樫の木などで、鬱蒼と茂った所に石で屋形をつくり、その中に弁才天と刻んだ石を安置してある。年代は不詳ですが霧生橋附近から広刎(ひろはね)が一望にすることができる場所である。

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 また、天照寺の南にも弁財天を鎮座した祠がある。この弁財天のお祭が毎年旧暦11月1日に行われるので、霜月祭または朔祭と呼んで現在も続いている。弁財天祭当屋帳(文化13年10月15日[1816年])を見ると当屋は二人、お供物やお籠りにつかう献立が細部にわたって取り決め、特に、年毎に違った献立をしないよう厳しくしているほか、検約を旨とするよう記している。

 献立を記すると、1.平 焼きとうふ、里芋、こんにゃく、牛蒡菜。2.中付こんにゃく、人参。3.焼物見合い。4.餅米三升一重。5.酒肴 芋大根の煮込み、酒五升のように記し、当屋が祭りの模様を詳しく記録し、また3年から5年に一度実情に合わせて献立を改正している。

 現在では、昔のような献立でなく仕出し料理が使われ、お詣りする人も弁天様は、財宝と幸福をもたらす神様として、婦人の姿も多く見られるようになった。




昭和61年目次
65.高原の守り神 古田の市杵島神社 昭和61年1月号
66.伊勢路善福寺と藤堂作兵衛奉納の観音様 昭和61年2月号
67.薬師さん 昭和61年3月号
68.阿保宮道筋の「かんせい」地蔵と薬師堂 昭和61年4月号
69.天満神社の“珍しい山の神々” 昭和61年5月号
70.正治権現(しょうじごんげん)さん 昭和61年6月号
71.伝説「千方の笛吹き石」 昭和61年7月号
72.信仰と散策の浄域十七明神社跡付近 昭和61年8月号
73.旧峠道に建つ高座子宝地蔵 昭和61年9月号
74.一本松の地蔵さん 昭和61年10月号
75.河川の神 弁天様 昭和61年11月号
76.幻の温泉郷も含むなつかしの阿保小唄 昭和61年12月号

目次昭和62年

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