絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

幻の重要文化財羽根亀井家大邸宅

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幻の重要文化財羽根亀井家大邸宅

昭和58年1月号

 211年前、菅笠日記で有名な本居宣長先生が、吉野へ花見の際通られたのと逆コースをとって、国道165号線の新羽根橋南詰から東へ折れて少し進み、北へ直角に曲って旧羽根橋を渡ったすぐ東側に、ひのき・かしなどの大木に覆われて森のように見えるのが、広大な亀井家の大邸宅です。

画像の説明

 亀井家は、約三百数十年前、伊賀町山畑の本家から羽根へ分家されたようですが、藤堂藩の無足人(むそくにん)(武士の身分を与えられているが無報酬で、平常は農業に従事し、有事の際召集されて出勤する人)の中でも、伊賀で5人の無足人頭とともに「御目見(おめみ)地士」という高い位に列せられ、代々大庄屋を勤めた家柄です。

 その屋敷は、通路を含めて700坪(約2300㎡)近くもある広い敷地に、南側の川に面した石積みの上に土塁を設け、他の三方は土蔵や堀で囲み、西側の立派な長屋門から出入りするようになっています。

 住家は主家と離れと新座敷の三棟から成り、十畳2室、八畳と三畳各4室、六畳5室、四畳半1室、二畳2室の計18室、この中に茶室もたくさんある、瓦葺、平屋建て入母屋造り、他に土蔵八棟や納屋も含む豪壮なもので、往時の権勢の程がしのばれますが、長く無住だったため、案内装飾や畳、建具などが全部持ち去られ、荒れ放題なのが大変惜しまれます。

 建築年代も300年近く前と思われ、完全に管理保存されていれば、国の重要文化財級の価値があるのにと思い、残念です。
宣長先生でさえ感心して眺められたであろう大邸宅を買収して、修復保全される大篤志家が現れないものでしょうか。




昭和58年目次
29.幻の重要文化財羽根亀井家大邸宅 昭和58年1月号
30.青山町の北に眠る城氏朝妻堡 昭和58年2月号
31.伊勢の堺、伊賀齋王堺屋の祭祀場跡 昭和58年3月号
32.霊験あらたか小河内の金毘羅さん 昭和58年4月号
33.歴史散策の小道 阿保頓宮跡から七つ塚へ 昭和58年5月号
34.村の生活を守る境目塚 昭和58年6月号
35.堀抜水路と儀八翁 昭和58年7月号
36.滝の熊野三所神社 昭和58年8月号
37.阿保から老川如来さん参りの近道 八鉢道の今昔 昭和58年9月号
38.兼好ゆかりの薬師寺跡 昭和58年10月号
39.諸木の子安地蔵 昭和58年11月号
40.寿福の神さま下川原の弁天さん 昭和58年12月号

目次昭和59年

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