青山町の北に眠る城氏朝妻堡
青山町の北に眠る城氏朝妻堡
昭和58年2月号
青山は城下町として開かれたのではなく、伊勢街道の宿場町として栄えたとされています。
“松風さわぐ丘の上、古城よ、ひとり なにおもう”青山町にもいくつかの古城があり静かに眠っています。
青山町駅のホームすぐ近くに望む北の山の頂に登ってみて下さい。
そこには老松と桧の大木におおわれてこそいますが、空堀をめぐらし、高い土塁の上には二つの櫓台を持つ古い城跡を発見することでしょう。
この城は「城氏朝妻堡」と呼ばれる別府の土豪・城八太夫が、天正伊賀の乱に、織田信長の軍勢を迎え撃つために築城されたと言われ、櫓台、広場、土塁、空堀も、往時の原形をそのままに現存しています。
天正伊賀の乱は織田群の圧勝に終わり、年を経て藤堂藩政になるに及んで、この城の存在価値はなくなり、虚しく放置されて来ました。
この城は阿保七郷はおろか伊賀上野を一望におさめる要塞の地であるとともに、老松や桧の木立を通して眼下に拡がる青山町の町は絵のように美しく絶景そのものですが、知る人もなく訪れる人もなく、ひとり風雪に耐えて眠っています。
もし開発が進み、町が近代化されても、この城だけは「ふるさとの古城」として保存され、整備して町の誇るべき文化財として、また憩の史跡として残してほしいと思います。
青山町駅からの展望
昭和58年目次
29.幻の重要文化財羽根亀井家大邸宅 昭和58年1月号
30.青山町の北に眠る城氏朝妻堡 昭和58年2月号
31.伊勢の堺、伊賀齋王堺屋の祭祀場跡 昭和58年3月号
32.霊験あらたか小河内の金毘羅さん 昭和58年4月号
33.歴史散策の小道 阿保頓宮跡から七つ塚へ 昭和58年5月号
34.村の生活を守る境目塚 昭和58年6月号
35.堀抜水路と儀八翁 昭和58年7月号
36.滝の熊野三所神社 昭和58年8月号
37.阿保から老川如来さん参りの近道 八鉢道の今昔 昭和58年9月号
38.兼好ゆかりの薬師寺跡 昭和58年10月号
39.諸木の子安地蔵 昭和58年11月号
40.寿福の神さま下川原の弁天さん 昭和58年12月号