絶版になった旧青山町の「あおやま風土記」を紹介します

金の鳥を納めた「唐櫃石(からひついし)」の謎

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金の鳥を納めた「唐櫃石(からひついし)」の謎

昭和64年1月号

 いま考古学の上で最大の話題は、奈良法隆寺近くの「藤の木古墳」の石棺の中に秘められた、被葬者と財宝です。
種生(たなお)の矢地の集議所の横裏に巨大な石棺そっくりの「唐櫃石」があります。

 長さ3m幅2m余り、深さは土に埋もれて判りませんが、この巨岩は江戸時代の藩史「三国地志」に「唐櫃石。……曰く、石の形、櫃の如し。土族云う。古昔、金鶏の此の内に納む。」と書かれており、その他の文献にも出ています。

画像の説明

 伝承によると、大昔、金の翼を持った鶏が、この種生の地に飛来して、沼の中の岩にとまり、永く住んでおり、めでたい瑞兆の神の鳥だとして珍重されたといわれ、後にこの岩が石棺に似ていたため、金の鳥が入っているとか、何か財宝が納められているのではないかといわれて来たようです。また金の鳥にちなんでこれを拝めば、福運に恵まれるという信仰もあったようです。

 しかし、何か財宝でも入っているのではないかと、掘り返したこともあったと伝えられています。

 戦後にも一度調査をしようということもあったようですが、ただの自然石らしく中止したようです。

 しかし、見れば見るほど「石棺」にそっくり、今でも「金の鳥」が納まっているのではないかと思われるほど神秘的なたたずまいを持つ不思議な岩といえます。




昭和64年/平成元年目次
101.金の鳥を納めた「唐櫃石(からひついし)」の謎 昭和64年1月号
102.文殊の不動さん 平成元年2月号
103.座禅石と種子曼荼羅 平成元年3月号
104.雨乞いや豊作祈念のかんこ踊りの歌本 平成元年4月号
105.原始農耕時代の遺物か?川上の道祖神 平成元年5月号
106.黒住教名賀教会所 平成元年6月号
107.伝説「おまん田」 平成元年7月号
108.蔵骨器が多数出土した安田中世墓 平成元年8月号
109.笹谷峠に建つ三つの村境地蔵 平成元年9月号
110.伊勢路の宿 平成元年10月号
111.むかしの如来道 平成元年11月号
112.信仰の拠点に立つ地蔵姿の庚申(こうしん)さん 平成元年12月号

目次平成2年

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